田口 仙年堂著
エンターブレイン (2006.11)
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クリスマスのカウントダウンが始まった。御色町で唯一の総合病院に、双葉と三バカ達が集まる。同級生の吾郎が長期入院しているのだ。病院でもこれからコンサートや劇など楽しい出し物が目白押しだというのに、吾郎の表情は冴えないまま。体調のせいだけではないようだが、その理由は双葉にはわからない。そんな患者さん達を喜ばせたいとイベントに燃える院長先生に頼まれて、ガーくんやオシリス、ゴールデンボーイズが競演することに!? 大好評シリーズ11弾。
新刊が出れば必ず面白い、『吉永さん家のガーゴイル』第11巻です。
11月新刊の今巻は一足早いクリスマスのお話。さくら祭りにおいてすさまじい何かを見せつけてくれたゴールデンボーイズが再登場です。つかゴールデンボーイズってインパクトあり過ぎて『再登場』って感じが全然しないんですが。えっ、第5巻以来だったっけ…?! ってそういう驚きがある。以来だったと思うんですが…。
文庫本としてはわりと薄めの第11巻ですが中身はぎっしり。
登場人物ほぼ勢揃いって感じで、みんなで一つのことに対してあれこれやってるこの状態が何とも御色町らしいと言うか、雰囲気がものすごく優しいんですよね。
ガーゴイル先生とかケルプとかデュラハンとかオシリスとか(ガーくんだけ敬称アリなの!?)、戦闘能力がズバ抜けてる存在がこれだけの数いるのに、町の人達はいたってフツーの暮らしをしててフツーに接してて…デュラハンとオシリスがものすごい戦闘を繰り広げておきながら、看護師さんに見つかったら素直に戦うのをやめて大人しく説教食らってるあたりとか、些細な場面なんですがそういうところがすごく好きなんです。
そう言えばこのお話の中でオシリスと戦ってるとこを見て多分初めて「あ、デュラハン強いなー」って思いました。オシリスに圧勝してたってワケじゃなくてオシリスはオシリスですごかったんですけど、デュラハンもやるじゃん! みたいな。ガーゴイル先生の強さが圧倒的過ぎてケルプにせよ誰にせよある意味霞んでしまうところが多いような気がするので、この感覚は新鮮でした。
『吉永さん家のガーゴイル アニメすぺしゃる』の方も買いましたのでガーゴイルまつりのプレゼントに応募したワケですが(特製ふせんセットが欲しかったんです)「一番好きなキャラクター」のところにでっかくデュラハンの名前を書いて投函したりした次第。
「だから何度も何度も何度も言ってるでしょ! これは子どもが観る劇なの! お兄ちゃんみたいに精神年齢だけが子どもな人じゃないの! どーして台詞のそこかしこに死とか虚無とか入れたがるのよ!」
「ヴァカヤロウ! メメント=モリという言葉を知らないのか!? メメント=モリ───つまり死を想うことこそ、人間の通過儀礼! それを現代のゲーム世代に叩き込んでやることこそ俺の使命ブッ! おいコラ! 誰だ台本投げたの!?」
り、林吾部長…! 死とか虚無は病院でやる人形劇にはやっぱり相応しくないよ…!(愕然)
『それもまた偏った知識ですな……ちなみに、昨年のクリスマスはいかがして過ごされました?』
『双葉が巨大な洋菓子を頬張り、泥酔して下着一枚になったパパ殿がママ殿に投げられたりしていた』
『全て承知致しました。貴方様は間違った認識をしておられます』
ケルプの流しっぷりがさすがです。ドミニオンの話を読んでからケルプも好きなんですよねー、今回はちょっと出番が少なかった…。
『さんたくろーすという老人がいるそうだな。住居に不法侵入した後、善良なる子どもの枕元に不審物を置いておくそうだな』
「メチャメチャ人聞きの悪い言い方だな……」
何一つ間違っていないのに決定的に誤っているガーゴイル先生のサンタクロース像。
これを双葉ちゃんがちゃんと正しておかなかったばっかりに…。
「ハァ……ハァ……だから、そういうわけで……」
ステッキに仕込んだ剣も半分に折れ、赤いマントも半分以上が焼け焦げた状態。バラバラに散らばったカードの上に、百色が倒れている。
『ならば初めから言え。我はてっきり汝が盗みに入ったのかと』
ガーゴイルもガーゴイルで、体中に小さなヒビを入れたまま寝転がっていた。
「最初から言ってたじゃないか……!」
『すまぬ。我はてっきりさんたくろーすという老人は悪人と認識していた』
ガーゴイル先生と百色がこんな惨状に(ひい)。
ガーくん曰くサンタクロースとは『煙突さえあればどこにでも入り込める伝説の老人』だそうです。どんな情報インプットされてるの! どこで学んだ知識なのそれは…!
ギャグの部分が面白かったのはもちろんですが、クリスマスのイベントを素直に楽しめない吾郎くんや病院のお医者さん達の気持ちにもきちんと触れられていて、その微妙なすれ違いがよく伝わって来て…とにかく今巻も『吉永さん家のガーゴイル』はとても面白かったです! 次巻ももちろん楽しみに読ませていただきたいと思います。
このシリーズ、まだ読んでないって方には絶対にオススメですよ!
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