田口 仙年堂著
エンターブレイン (2007.5)
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もうすぐ卒業───菜々色高校三年生の進路も様々だ。和己は大学進学希望、同級生で林吾・桃兄妹の幼なじみの範太はアメリカで絵の修行をするという。勉強の合間、範太の壁画制作を手伝う和己だが、意識しあっていた桃と喧嘩してしまった挙句、範太と桃の急接近を目の当たりに。受験目前というのに立ち直れない───。一方、怪盗百色は昧礼寺で有名画家の奇妙な作品を目にし、興味をもったためガーくんに睨まれて!? 恋と謎とが交錯する大好評シリーズ第12弾。
『吉永さん家のガーゴイル』第12巻です。
今巻はあらすじにもある通り和己くんと桃ちゃんがメインのお話。
桃ちゃんがメインになると林吾兄さんの出番も増えるので私としては嬉しい! 林吾兄さんのあのバカッぷりが好きだー!
それにしても、二人のすれ違いの原因になる桃ちゃんの爆発がいささか唐突に過ぎてついていけない印象を受けてしまったワケですが。以前から和己くんとぎくしゃくしてたような様子もなかったし、何故あそこでいきなり和己くんが怒鳴られなきゃならんのかさっぱり。
後半になったら明かされなかった事情でも出て来るのかと思いましたがそれも特になかったし、重要な場面なのに書き込みが足りない気がするのです…まあ桃ちゃんとしてはあんなことやこんなことで気持ちの整理が大変で、だからあそこでああなっちゃったんだろうなーってことを想像で補うのは十分に可能なのですが…やはり本文中でもっと埋めておいて欲しかった。私は何でもちゃんと説明してもらいたがるタイプの読者のようなので…。
チャック・ジーニアスのエピソードも絡んで来るから分量が足りなくなっちゃったんでしょうか?
しかしまあ、誰かの愚痴を聞かされるとまず否定から入ってしまうヒトッて、いるよね…と妙にしみじみとした気分になったのも確か。愚痴ってるヒトが嫌いだから否定するんじゃなくて、好きだから元気づけようと思って、でもまず否定から入ってしまう人。否定された側も、嫌われてるから否定されてるんじゃないってことがわかるだけに余計しんどくなるような。読んでても和己くんの態度にはイラッとさせられるところありましたし。落ち込んでるときに説教されたらそりゃキレもするよなーというおハナシ。でもそういう対処の仕方するヒトってホント多いし。
最終的には和己くんと桃ちゃんはちゃんと仲直りするのですが、それもまたアッサリし過ぎてて物足りないと言うか…あんだけもめてたのに何故そこまで簡単に!? あるいはそれが青春なのか!?
色々モヤモヤとしたものが残りまくりの第12巻でした。話の内容が内容なのでこれぐらいの書き方がちょうどいいって方もおられるとは思いますが。私だってあんまりドロドロされたらさすがに嫌だし…でもやっぱり、足りない気がする。この辺難しいだろうなあ。
第12巻は本文がそんな感じにシリアスなのにマンガ部分がはっちゃけてて、読み始める前にカラー口絵の『ガーゴイル絵描き歌』の歌詞で大爆笑したのには自分も驚きです。絵描き歌の歌詞でここまで笑えるなんて! って言うか絵描き歌じゃないよそれ! ガーくん絶対完成しないよ!!
何はともあれ次巻も楽しみに読ませていただきたいと思います。
『コッペとBB団』の3巻は本になるのかならないのかー…。
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