先週の『姑獲鳥の夏』と同じくひろ嬢、すずか嬢と鑑賞してまいりました。
公式サイトはこちら。
映画の雰囲気をそのまま伝えられるようにダイジェストっぽく箇条書きの感想をどうぞ。
・この映画の冒頭に出て来るものとしてはグロ過ぎるうえに「牛から生まれて予言をする人の頭を持つ妖怪」という予備知識がなければ何がなんだかわからない悪夢のような『くだん』。
・田舎の子供達の麒麟送子のハナシを「有り得ないから」と現代っ子っぽく否定するこの先ずっといじめの対象になりそうなタダシ君。
・映画の中では一度も呼ばれないのに「タタル」なんて名前を設定されてしまっている気の毒なタダシ君のお姉ちゃん。
・出席簿で児童の頭をバンバンはたき倒す確かに田舎の先生っぽいけれども教育者としてそれはどうなのかと突っ込みたくなるような宮部先生。
・「見かけで判断するなや! オレも抱いてくれ! オレも抱いてくれ!」と叫びながらタダシ君を問答無用で水の中に引きずり込もうとする何だかもう別の妖怪じみていた河童の川太郎にサムズアップ。河童最高。
・妖怪達が総出でタダシ君を脅かしまくるシーンではあちこちで子供の泣き声や「怖いよー」と言った声が聞こえ「いまの子もこんな映画でちゃんと泣くのだなぁ」とヘンな感心。
・ろくろ首の首の落ち方が良かった。おでこが痛そうだった。
・段差の下で両手を広げて待ってくれている川太郎をきれいに無視して自力で飛び降りるタダシ君にサムズアップ。
・重要なキャラクターだと思っていたのに出て来るや否やアギにやられる大天狗。
・大天狗と同じくらいたちまちにアギに折られる麒麟送子の聖剣(…聖剣なのに…)。
・電子レンジのターンテーブルの上で回されるすねこすりから目が離せません。
・加藤保憲に立ち向かおうと言われ「冬場ならともかく今の季節はちょっと…」と拒む雪女。
・加藤保憲に立ち向かおうと言われ逃げ出そうとした一反木綿を「鬼太郎の前ではええカオしてるらしいやないか!」と叫びながら柱にくくりつける川太郎。
・岡村さん扮する小豆あらいは足が痺れて立てなくなってたのにしつこく小豆をといでおりました(「といでると落ち着くんじゃない?」「毛づくろいみたいなもの?」)。
・ごぼう天のごぼうが……!!(衝撃)
・「アイツは元気でみんなのすねこすって励ましてるぜ!」
・本気を出しても加藤保憲にまったくちっとも最初から最後までとうとう全然歯が立たない麒麟送子。
・有り得ない場所に有り得ないタイミングで出て来た小豆あらいを全員がスルー。
・我が目を疑うような未曾有のクライマックス(…)。
・荒俣さんと京極さんがやってた山ン本五郎佐衛門と神ン野悪五郎って何なの? 御大の作品の何かに出て来るの?
・タダシ君、その嘘は佐田さんに気を遣い過ぎ。
・って言うか明らかにどっかで選択肢間違えてバッドエンドになってるっぽい。
映画としては面白かったのですが物語としてはどうなの? と首を傾げてしまうような『妖怪大戦争』でありました。あのオチだと結局麒麟送子なんていてもいなくてもどっちでも良かったようなもんだし、何よりラストで大人になったタダシ君にすねこすりが見えなくなってたのがひどすぎる。最後の最後のワンショットもあんなんだしそこまで観客を裏切るような終わり方をして恥ずかしくないのかと問い詰めたいぐらい。
しかしながら日本中の妖怪達が集まって来る百鬼夜行のシーンは良かったです。妖怪達が集まって来るのは決して加藤保憲を倒すためなんかではなくて「東京で祭りをやってるらしい」という話を聞きつけお祭りに参加するために押し寄せて来るワケです。その動機が妖怪らしくてとても良かった。結果として加藤の手下である器怪と乱闘になるのもケンカ祭りだと思ってるからであって。結局争ってるのは加藤保憲と人間とであって、妖怪達は利用されるために巻き込まれただけっぽいんだから、『妖怪大戦争』ってタイトルも本当はどうなんだろうな…?
ともあれ楽しい映画でした。
角川文庫から出てる『妖怪大戦争』も読んでみたいかもしれない。
でもやっぱり群れで捕まった他のすねこすり達がどうなってしまったのかがすごく気になります。まさか一匹の他は全部…まさかあんなに愛らしい生き物達が…体液はインパクト強かったけど…(体液言うな)。
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