『シャッターアイランド』
お久しぶりの感想は本ではなく、映画です。
「全ての“謎”が解けるまで、この島を出る事はできない。」
そんなコピーで表される映画の内容よりも『「超」吹替版』とやらがどんなものなのか気になっていた『シャッターアイランド』をおともだちと二人で観に行って来ました。
以下ネタバレあり、というかそもそもネタバレしなきゃ感想なんてまったく書けないような映画のため、追記扱いにさせていただきます。
完全に観賞後の方向けの内容となりますので、未見の方で観る予定のある方は絶対読まないことを強くオススメ。
この先はくれぐれも自己責任で!
それではどうぞ!
そんなワケでディカプリオ演じるテディ・ダニエルズがすなわちアンドリュー・レディスで実は彼自身もまたアッシュクリフ病院の患者だったのでした、というオチの『シャッターアイランド』。
予告とかで煽りまくってた女性患者失踪の謎は本筋には全く関係なかったじゃないか……密室トリックの華麗な解明とかあるかと思ったのに、そんなものはなかったぜ。まあそれはそれで別にいいのだけれども。
私はラストにもう一回ひっくり返して「本当に陰謀でした」ってラストになると思ってたので映画の終わり方にはやや不満が残りました。
が、『実は本当に陰謀説』で映画の感想を語っている方が多くいらっしゃるのを知り「この映画はそういう楽しみ方をするものなんだ!」と認識したため、自分なりの見解をそのように書き留めておこうと考えた次第です。
映画を一度観ただけの記憶を元に記述しますのでもしかしたら誤解しているor間違っている部分もあるかとは思いますが、ひとまずお付き合い下さいませ。
とりあえずは公式サイトにある観賞後の方向けの『[?ポイント]チェックシート』を見ながら、これを書いている5月4日現在でオープンになっている7項目について。
・病院に入る前、チャックが銃を外すのに手間取った件
チャックは保安官ではないので銃の扱いに慣れていないからすぐに渡せなかった、ということでした。
私は彼が仕事に対してあまり真面目でない(銃の訓練をサボっている)ことの伏線、もしくはチャックだけが病院内に危険があることを知っていたので渡したくないという気持ちのあらわれなのかもしれない、と深読みしてました!
・病院の庭での患者達
同じ入院患者であるレディスと顔見知りだったための行動。
とは言え、笑顔で手を振るのは理解出来るとしても唇に指を当てて「シー」の仕草をした意味がよくわかりません……。
「あなたのことは知ってるけど、お芝居中だから私は黙ってるのよ」ってサイン……かなぁ……? 悪戯っぽい感じで笑ってるし、茶目っけからくる仕草だってことは何となくわかるんですけど。
このシーンは最初から思わせぶりでひっかかってただけに、すっきり出来なかったのがちと残念。
・飲む瞬間に消えたコップ
テディの幻覚。
と言い切られても何がなんだか。問題なのは何故そんな幻覚を見たのか、そんな幻覚のシーンを入れる必要があったのか、ではないのか…?
・塀の鉄線に電流が流れてることを知ってる
収容されている患者だから。
これはどうかなあー。あれはぐるぐる巻いてていかにも電気が流れてますって雰囲気の形状だったし、あの病院ほどに特殊な施設なら電流線がとりつけられてるぞってことぐらい憶測でも言えるでしょう。
確かにテディはその後「前にも見たことがある」って言ってますが、戦地に行った経験があったり保安官という経歴を持つ彼の台詞ですから「どこかで見たんだろうな」と素直に思える、つまり違和感がない。?ポイントって言えるかなあー(不満げ)。
・やる気のない警備隊
本当は失踪事件なんて発生してないから。
確かにめちゃくちゃやる気なかったよ、あの人達! 「暗くなったから捜索は打ち切りだ」みたいな台詞がすっと出て来てたのにも少しひっかかりました。島自体からは逃げられないんだから夜になってまで探すことはない、って意味にとれますけど、そんなにあっさりほったらかしにしていいものかどうかと…。
テディとチャックが事情聴取をした病院の職員達も全然やる気なかったですしね。保安官から話聞かれてるのに爪の手入れとかしてたりして。
あからさまに非協力的な態度をとるのは病院の内部事情を外部の人間に知られたくないという警戒心からなのかとまたも深読みしてましたが、何のことはない、テディが患者なら職員としては小芝居に付き合わされてるだけなんだから真面目にもなれませんよね。
コーリー院長が職員の個人情報ファイルをテディに見せなかったのも、それで納得です。
・テディと話をするときのコーリー院長
医者として患者の反応を見ている。
これもなー。なんかもやっとするんだよなー。コーリー院長がやたらとテディの反応を気にするのは気づいてたけど、単なる職業病のようなものだと思ってた。院長の、テディ以外の人との接し方も見ておかなきゃならなかったということか。次観るときの宿題ですね。
・夢の中のドロレス
実際の死因を表している。
うーん、確かにヘンな場面でした。
火災が原因で死亡した(ただし焼死ではなく、煙にやられたとテディが言ってましたが)奥さんなのになんでずぶ濡れ? しかも血まみれ? でも夢なんだからそんなものかなあ、最後は灰みたいになって崩れちゃったし…。と、ここは深読みせずに流してましたけど。
でも窓から湖を見てるときかどっかのドロレスは、背中が焦げてなかったか? あれは何?
という感じでチェックリストの項目についてはここまでです。
それでは、とりとめなくなるかとは思いますがざっと私の疑問点や解釈なんかをあげてみましょう。
・テディには三人子どもがいた。
なのに娘ひとりだけを特別扱いして、他の二人のことはないがしろにしてるのは何故?
娘さんと息子二人に対する温度差が激し過ぎではないかと。
娘さんについては戦争のときの夢にまで登場させるのに、男の子二人はほったらかしですよ。
実は男の子は妻の連れ子で、実の子は娘ひとりだけとかそんなの?
でも全然説明がなかった気がするんですが…。
・「RUN」と書いた女性患者が後半で再登場したときに、テディを見て笑ってたのは何故?
確かにあの人と同一人物ですよね?
テディが一人で戻って来て、相棒はどうしたとかいう会話をコーリー院長としてたとき、後ろにいたあの女性が職員から「あんまり見るんじゃない」と注意されつつ、テディの方を見てすっごく笑ってたのは何故なんでしょう。
せっかく「逃げろ」って書いてやったのに、テディが逃げずに結局戻って来たからでしょうか? そもそも「逃げろ」の意味もよくわかんないし、なんか腑に落ちないんだよなぁ。
・コーリー院長の車を爆破したことにはどんな意味が?
島にある唯一の車がそれだけというならまだしも。
あの車を燃やしたところで他にも車はあるんだし……陽動作戦で行動する時間を稼いだ? いやいやそんな大層な時限式じゃなかったし(ってか爆発するまで見届けてたし)あんなところで騒ぎを起こしても何のメリットもない気がするんだが……。
「実は全然好きじゃなかった」ネクタイを処分したかっただけなのでしょうか……。
・つまり私がこうであってほしかった結末
テディは本当に保安官で、本当に陰謀説。
洞窟の中にいたレイチェル先生が言ってたみたいに、テディは洗脳されて医者達が描いたシナリオを現実として受け容れさせられてしまった。
テディの最後の台詞は正気に返ったときに発したものだけれど、達観ではなく諦観から出た。
これからどう足掻いてもここには味方もいないし自分の力ではこの窮地から逃れられそうにないから、脳を手術されることでせめて精神だけでもこの状況から逃避しよう……という、要するに悲惨なバッドエンド。
だったら面白かったんですけど、どうもテディは本当に患者ってところで真相っぽいですね?
まあとにかく、是非二度見したい映画です、『シャッターアイランド』。
ただし映画館ではなく、一人ででもなく、DVDとかになったときに観賞済みの友達と一緒に、「このシーンはこうだ!」「ああいう解釈だ!」ってリアルタイムで感想や意見を述べ合いながら観たいですね!
原作も読んでみようかな~。
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