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2008.04.09

『密室殺人ゲーム王手飛車取り』

 歌野晶午 講談社ノベルス

<頭狂人><044APD><aXe><ザンギャ君><伴道全教授>。
奇妙なニックネームをもつ5人がインターネット上で
殺人推理ゲームの出題をしあっている。
密室、アリバイ崩し、ダイイングメッセージ、
犯人当てなどなど。
ただし、ここで語られる殺人はすべて、
現実に発生していた。
出題者の手で実行ずみなのである……。
茫然自失のラストまでページをめくる手がとまらない、
歌野本格の粋を心して噛み締めよ!

 第8回『本格ミステリ大賞』候補作、ということで読んでみました。
 最近推理モノというかミステリにはとんとご無沙汰でしたので、『本格ミステリ大賞』の候補作や受賞作を網羅してみようとのひとり企画を思い立ったもので。

 ネタバレとかあまり気にせずに感想文を書きますので未読の方は以下ご注意下さい。

 登場人物の五人が順番に出題者となりいくつもの推理ゲームを繰り広げる趣向は、推理小説離れしていた私にとっては心地良くリハビリ的に機能してくれました。

 『Q5 求道者の密室』が中では一番面白かったです。『Q1 次は誰を殺しますか?』もなかなかでしたが、しょっぱなからバンバン人が殺されまくってそういう小説だと知りながらもちょっと引いてしまった自分がいたり。そう言えばほんと最近こんな感じで死人が出る小説読んでなかったなぁと思い至る。

 その戸惑いもすぐに消えて、出題者による殺人ゲームをすっかり楽しめる心境になった状態で迎えたラストが、アレですか…。
 何だろう、この説教臭さ。あからさまな蛇足感? 雰囲気ぶち壊し、と感じるのは私だけでしょうか?
 最初っから最後まで壊れた道徳観で突っ走ればいいものを…と強烈に反発したいような気分にさせられてしまいました。せっかく気分良く読んでたのに…みたいな。
 しかもラスト投げっぱなしだし、続く? 続くの? ページないけど大丈夫かよ、とか思ってたら大丈夫じゃなかった、みたいな…何だ、これ…。

 ってか、そもそもね、行かないと、思うんだけど…。
 あんな殺人ゲームやってる仲間に誘われて、しかもこれまで一度も顔を合わせたことがないのに、何で最後だけ集まってんの? そこんとこにすごい違和感。
 そのうえ、これまではあんだけゲームっぽく人を殺しまくってたくせに…グダグダになるし…何で? 友情?

 それまでが不謹慎極まりなく痛快な内容だっただけに、終章を読まされてげんなりしました。
 044APDが…、…ってとこで綺麗にまとめてくれてたら、かなり私好みの終わり方だったんですけど。でもまあこういう終わり方のが好きだって人ももちろんいらっしゃるのだから、結局は個人の好みですからね…。

 ラスト、私なら、答えは『<頭狂人>に立ってもらう』ですね。それ以外の人は立ったところで意味がないんじゃないでしょうか? なのになんで迷っちゃうんだろう。お前ら、そんなに仲良しだったか…?

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