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2007.01.05

『ストレイト・ジャケット7 イケニエのヒツジ ~THE SACRIFICE 1st. HALF~』

イケニエのヒツジ 7
榊 一郎著
富士見書房 (2006.3)
通常2-3日以内に発送します。

 トリスタン市では、魔法と関係のない人たちが、ある日突然魔族化するという謎の事件が頻発していた。
 「<黒騎士>に呪われると魔族になる」隣の人間がいつ魔族になるか解らないという緊張感から生まれた街の噂で、人々は静かに恐慌(パニック)状態に陥っていた。
 そんな中、深夜の街角でレイオットは異形のものに遭遇する。半人半馬。神話に出てくるケンタウロスのように、高貴さを持ちながらも魔族のような禍々しさを併せ持つ異形。
 まさかこれが<黒騎士>!? レイオットの前から一瞬にして姿を消した異形のもの。この時のレイオットはまだ知らなかった、この出会いが、彼を最悪の事件へ導くことになるのを───。
 榊一郎のハードボイルドファンタジー。人は皆、誰かの犠牲の上に生きている。

 おひさしぶりのストジャです。
 今回もひろ嬢にお借りしました、いつもありがとうございます。

 タイトルを見てもわかるように、今巻は上下巻構成の上巻にあたるもの。だからなのかどうなのか結構分厚い本なのに物語全体に関係するような大きな動きというものが見られません…。

 なんか魔法を使わない人間でも強制的に魔族にしちゃう黒騎士ってのが出て来ましたが、では黒騎士が何者なのかってのは結局わかんないし(裏で糸を引いてるっぽいのはもちろんプリンの人です)(プリンの人はよせ)、どうも今後の展開に絡んでくるっぽい二人組(救命魔法士の地味な兄と車椅子の美少女妹)も出て来ましたがこの二人が何なのかってのもよくわかんないし、紆余曲折あってレイオットさんが黒騎士と直接対決! ってなった途端『つづく』になっちゃったし…。

 いつ誰が魔族化するかわからないという不安に怯える人々が住まうトリスタン市の陰惨な雰囲気をお楽しみ下さいといった感じの内容でした。集団暴行とか多発してて大変。榊氏は同業者のいやがらせとか正義を振りかざす一般市民の私刑(リンチ)とかがお好みっぽい印象を受けました。

『忘れてませんよね?』
 念を押す口調でネリンがそう尋ねてくる。
 レイオットは更に数秒考えてから───言った。
「あんたの誕生日は来月だったよな?」
『覚えててくださって嬉しいです』
「となると……ジャックの誕生日か?」
『違います』
 ネリンの口調に苛立ちが滲む。
『先に言っておきますけど、モデラート警視の誕生日とかフィリシスの誕生日とかエリック君やフレッド君の誕生日でもないですからね』
「じゃあ誰の誕生日なんだ?」
『誕生日から離れてください』

 そんな中にあって「鉄壁の日常」と呼びたくなるほどにいつも通りなネリンさんが立派です。
 ストジャの登場人物は主人公のレイオットさんをはじめとしてそのほとんどがちょっと斜に構えたような、どっかヘンなヒトばかりなのでネリンさんやブライアン警視のまっとうな真面目さ加減が一服の清涼剤のごとく冴え渡るのです。

 というわけで、単なる栄養補給の手段としてドーナツ喰ってるブライアン警視とかロミリオさんに「面白いゲス」とか言われてるアルフレッドさんとか本筋に微妙に関係ないところばかりが記憶に残った上巻でした(それでいいのか…?)。

 引き続き、下巻を読み中です。

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