『鬼切り夜鳥子 ~百鬼夜行学園~』
普通の高二男子、久遠久は、ある日幼なじみの桂木駒子の異変に気づく。全身に不気味な式神の刺青をまとった駒子は、夜鳥子と名乗る中世の女陰陽師の霊とともに、同級生や先生に取り憑いた鬼たちと1人で戦っていたのだった。駒子と一緒に戦うことを決意する久遠。倒す鬼は5匹。期限は1週間。2人は鬼を倒しきることができるのか!? 「俺の屍を越えてゆけ」等でおなじみの鬼才ゲームデザイナー桝田省治が初めて書き下ろす、妖艶な伝奇アクション!
ひろ嬢からお借りした本です。
『俺の屍を越えてゆけ』は…確かずっと昔に「面白いからやってみろ」と誰かから貸していただいたものの、結局一度もプレイすることなくお返ししたそんな記憶があります。きっと面白かったんでしょうね。この『鬼切り夜鳥子』が面白かったので。
あとがきに『まだ見ぬテレビゲームのリプレイ小説』というタイトルがついていることからもご理解いただけるように、もとはゲームとして企画された作品だったそうです。そういう目で読めば確かに全編がそれとなくゲームっぽいのですが(駒子が走り回らなければならない理由とか)、純粋に小説としてもとても楽しませていただきました。
一応は主人公っぽい久遠久の影が薄過ぎでしたけど。
久遠くんより三ツ橋さんの名前をあらすじに出すべきなんじゃないかと思ったり。
最後の最後でちょっとだけ活躍なのかもしれない活躍はしますけど、久遠くんって別に要らなかったんじゃないかな…多分この作品がそのままゲームになってたら久遠くん出て来なかったと思う。
主人公が高校生男子でないといけない理由でも小説にはあったのかしら?
まっすぐで気持ちの良い性格の駒子、限りなく無敵で凛とカッコ良い夜鳥子、意外としっかりものの三ツ橋さん、三人の女性キャラが実に魅力的。
夜鳥子側の事情については少々説明不足の物足りなさを感じなくもありませんでしたが、それも許容範囲内。
一戦終わるごとに駒子&夜鳥子が食事をする場面の描写が実に微笑ましくて、思わずお好み焼きを食べたくなりました。
しかし、ラスト。
『傀儡渡り』との戦いで学校全体が結構な惨劇になっちゃってたに違いないのに、翌日駒子がフツーに県大会に出場して走ってたのはどうかと思うんですけどね…明らかに大怪我をしたに違いない人とか何人もいたんですが…妖怪がいなくなったら治るって種類の怪我じゃなさそうだったし…。
その終わらせ方だけはちょっとひっかかったかなー。綺麗にまとまってるんだと言えば、このうえもなくぴったりまとまってるんですけど。
カバー折り返しの著者紹介のところに「お蔵入りになったゲームのシナリオを次々に小説化中」と書かれてありますので、次の作品も出る、のでしょうね?
楽しみに待ってみたいと思います。
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