« 『蓬莱学園の犯罪!』 | Main | クロスセブンを買いました。 »

2005.07.18

『蓬莱学園の魔獣!』

『蓬莱学園の魔獣!上』
『蓬莱学園の魔獣!下』 新城十馬 富士見ファンタジア文庫

 学園非公認新聞<外套と短剣>編集主幹、テオドール・ザールウィッツは追われていた。学園を大混乱に陥らせた陰謀の張本人として。それは限りなく濡れ衣に近いものではあったが、事実は彼の苦難の助けにはなってくれない。金もなし、頼るべき仲間もなし、そんな彼が手に入れた最後のチャンス、とびっきりの特ダネとは?
 横倒しになった電車が写った一枚の写真───その胴体に穿たれた巨大な爪痕!
 蓬莱学園の秘境、南部密林に、何が潜んでいるというのか?
 生徒数10万の巨大学園に展開される、サイバーサスペンス第三弾!
(上巻あらすじ)

 蓬莱学園小説第3弾です。
 『犯罪!』にも出て来たテオさんが語り手で再登場。

 前々巻『初恋!』とも前巻『犯罪!』ともまったく異なる雰囲気を持つ作品です。
 これだけタイプの違う物語を同じ語り口で書き上げられる手腕には感心しますがシリーズが進むごとに『蓬莱学園』っぽい奇想天外さがおいてけぼりになっていってるような…それは単に私が『蓬莱学園』を誤解しているだけなのでしょうか。でも『魔獣!』の舞台だけは蓬莱学園でなくとも別に良かったような、それでもお話はちゃんと成立してしまうような…『蓬莱学園』を期待して読むとちょっとがっかりします。フツーの小説、って感じでしょうか。

 全編を通して明確なひとつの雰囲気が物語世界を支配しているのでその雰囲気を好きになれた方にはものすごく面白いお話と思えるはず。一本筋が通った構成には好感を覚えますが残念ながら私は『犯罪!』のラストでうやむやにされたことが結局こっちでもちゃんと語られなかったりそれどころか『魔獣!』の終わり方にさえもよくわからない部分がたくさんありすぎて純粋にストーリーを楽しむことが出来ませんでした。決していい加減に読んでいたりはしなかったのですが…単に私に合わなかっただけのことなのでしょうが…もしかして兵衛のダンナの出番が非常に少なかったせいなのか…(それかよ)。

 何にせよ『蓬莱学園』モノの長編小説は事実上『初恋!』『犯罪!』『魔獣!』の3作のみのようですので(『革命!』があるけれども未完、残りは全て短編集らしい)後に行くほど評価が落ちていってしまったのは非常に残念でした…。

|

« 『蓬莱学園の犯罪!』 | Main | クロスセブンを買いました。 »

富士見ファンタジア文庫」カテゴリの記事

Comments

The comments to this entry are closed.

TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference 『蓬莱学園の魔獣!』:

« 『蓬莱学園の犯罪!』 | Main | クロスセブンを買いました。 »