『シャープ・エッジ stand on the edge』
『シャープ・エッジ stand on the edge』 坂入慎一 電撃文庫
ハインツという名の殺し屋に育てられたカナメという名のナイフ使いの少女が、ハインツの仇を討つために魔女であるシルビアを殺すまでのお話です、が…。
先に進めば進むほどカルロとシルビアの方が良い人に思えてきて、感情移入しかけてたカナメちゃんからどんどん心が離れて行くのがしんどかったです。
登場当初はカッコ良く見せ場があった異端審問官シモンズさんも先に進むほどに影が薄くなって行って…明らかにされた彼の『能力』、つまるところ全然役にも何にも立ってなかったんじゃないだろうかとか…。
本来の魔女サブリナに至っては出て来る意味がわかりません…。
作者さんの意図がわからないので断言することは出来ませんが『カッコ良さ』だけを追い求めて書かれた文章のような気がします。今にも切れそうなくらい張り詰めた糸のような文体…というか高速で回り続ける独楽を連想しました。独楽は速度を保って回り続けている間は直立しているけれども、わずかでもスピードが緩むと…普通の描写を始めるとブレ出す危うい文章、という感じです。とてもカッコ良い文章なのは確かなのですが…。
カナメの『強さ』を強調するために敵を下げすぎ…かな。
いっそサブリナを削って『強さ』の描写にもっと手間をかければよかったのでは、とか思ってしまいます。
カナメの『能力』も…シルビアとの戦闘で使わないんだったら意味不明のような…。
あと2冊続編があるようなので続きを読んでゆきたいとは思いますが。
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