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2004.08.26

『吉永さん家のガーゴイル4』

『吉永さん家のガーゴイル4』 田口仙年堂 ファミ通文庫

 『吉永さん家のガーゴイル』、シリーズ第四作目。
 今回の舞台はおなじみ御色町ではなく、昭和二年の日本───もとい、高原イヨさんの脳内世界。『記憶発掘装置』で三日間も眠ったまんま起きない彼女を起こすべく乗り込んだ双葉、和己、ガーゴイルの三人。双葉ちゃん達は昭和二年の日本で『門番型自動石像』を作っている三人の若者に出会います。東宮雅臣、高原潤、そして若き日のイヨ。この世界で現在のイヨを探し出さなければ元の世界には戻れない状態なのですが、一途に夢に打ち込む若者達の姿に感銘を受けてガーゴイル作製に協力することに。

 今回はぐっと大人の雰囲気になってます。
 雅臣、潤、イヨ、三人の微妙な関係、雅臣の婚約者琴子の想い、実の娘も同然の琴子に対する用心棒小林の想い、父が倒れ会社を継がねばならない状況に陥っても錬金術を志すのをあきらめられない雅臣、吉永家の面々が霞んでしまうほどに悩んで苦しんで動き回る昭和二年の人々。
 実に読み応えがありました。誰も誰かを傷つけたくはないのに譲れないものを抱えていて、わかりあいたいのにわかりあえなくて…みたいな。

「おまえは───何をやって──────」

 特に後半の雅臣にはやたら泣かされてしまいました。完成したはずなのに起動しない『門番型自動石像』にすがりつくシーンとか。ああいうシーンには弱いなー…起動の仕方も、ずるいです(笑)。あそこでああ決められると感動するしかないじゃないですか。

「そん時はケンカになるけど、言わなかったらケンカもできないんだぞ!」

 今回やや影が薄くはありましたが自分の考えをはっきり口に出来ないこの時代の人達に対する双葉ちゃんの苛立ちはまっすぐで純粋で気持ち良かったです。それを抑える和己くんは『兄』って感じで…いいですねえこの兄妹…。

『双葉に手を出した罪───それを我と同じ姿で行ったこと、万死に値する』

 はい! 今回も言ってますね、ガーゴイルさん!(すっかり敬語だよ) とにかく相手が何だろうと双葉ちゃんに手を出すものは許さないのです。あんなものでもまっぷたつです。今回の相手はまっぷたつにしちゃいけないんじゃないかとか考えなかったんでしょうか、ガーゴイルさん!
 ラストのお姉さんも逐一良かったし…すごいなぁこのシリーズは…面白かった! 堪能いたしました。
 新刊発売は10月予定とのこと、今からとても楽しみです!

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