『キーリ3 惑星へ往く囚人たち』
『キーリ3 惑星(ほし)へ往く囚人たち』 壁井ユカコ 電撃文庫
キーリです。キーリですよ。何も含むところはありませんがキーリです。
しかしこのシリーズを読み始めるときに感じる義務感にも似た閉塞感は何なのだろう。面白い作品なのにな…。
今回は旅をしていた前2作と違ってキーリとハーヴェイ同棲編(あ、心配しないで下さい我らが兵長もいますから)。
相変わらずこれといった行動も起こさずに一日中だらだらしまくっているハーヴェイと違いキーリはウェイトレスのバイトを始めました。生活費の大部分を稼いで来るのはハーヴェイの方っぽいんですけどね(カード賭博でな)。
上の部屋の窓からバイトに出かけるキーリの脳天目がけてフォークが落ちて来た、そんなキーリの誕生日の朝。
上の階の住人に悪質な悪戯をやめさせようとハーヴェイが行動を起こすところから物語は始まります。
そのままキーリの誕生日をものの見事にすっぽかすハーヴェイ。怒る兵長。
誕生日の失態も取り返さぬうちに金髪碧眼の美女と一緒にいるところを目撃されてますますキーリを混乱させて落ち込ませる駄目男ハーヴェイ(その前にタイプライターの一件ではちょっとだけキーリのためにぶち切れたりするのですが…まだまだ…)。
朝帰りを通り越して夕方帰りをしてまた兵長に今度は本気で怒られます。いや兵長絶対ハーヴェイ殺す気だったねアレは。不死人も仕留めますか素敵ラジオ。
金髪美女ベアトリクスに不死人と一緒にいることはどうのこうのと説教を垂れられながら帰って来たキーリ、ハーヴェイ達がすごい喧嘩をした部屋の惨状と兵長を「捨ててきた」(うわあ)と言ってのけるハーヴェイの台詞にどういうことかと詰め寄りますが、精神的に余裕のないハーヴェイは誤ってキーリを階段から突き落としてしまい愕然。
幸いキーリのケガは大したことがなかったのですがすっかり動揺したハーヴェイはとにかく兵長を探そうと(お前が捨てたくせに)部屋を出て…。
このままでは全部書いてしまいそうなのでここらでやめておきます。
今回も見どころは兵長ですね!(2巻でさえ見どころは兵長だと言い張りますが何か?)
ハーヴェイに捨てられる以前に売られそうになったりしましてますますその存在が危うくなって来てます、ラジオの兵長。古いラジオって結構な値がつく骨董品らしいですから。路銀に化ける日もいつか来ますか?
ラジオに憑依してる霊というよりはもはやアレは自分の意思を持ってて喋る滅法強いラジオですよ。兵長ラヴ。
だって兵長、ラジオの電源切られちゃうと意識をなくすというか、電源を切られた時点で彼の時間はそこでストップしちゃって、次にスイッチ入れたら台詞とかもその続きから話し出すワケで、何て言うかその辺りが非常にかわいい。つけたり消したりして遊びたい(わあ…)。
すっかりキーリの保護者になっちまったところも素敵じゃないですか。ハーヴェイよりよっぽど頼りになるよアンタ。
3巻では『ラジオじゃなくて犬に憑依した兵長』とか『ラジオの姿のまま教壇に立つ歴史の先生兵長』とか色んな兵長を楽しめますよ(…)。あー好きだー。
あとバズとか(読んでない人にはわかりません)。
『砂ライオンの皮を剥いでいる方が似合ってそうな』強面の巨漢なのに名コックで、不機嫌で無愛想で無口なのに最後にキーリをぎゅっと。ぎゅっと! 最後の最後にあんな場面を持って来るか…!?
今回はちょっとオトナになった(かもしれない)ハーヴェイがまたキーリに無断で勝手なことをしてやっぱりその辺は全然成長しないよなお前とツッコミどころ満載な終わり方で、もうありありと4巻に続くのですね…わかりました付き合います…兵長が路銀にかわるまで(かわるんですか?!)。
ちらっと調べたところでは来年の2月発売予定らしいです。今回はかなり間があきましたね…。
なんか某所でキーリのコミック版が連載されてましたがアレは…兵長は…?(それしかないのか)
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