『招待客』
『招待客』 新津きよみ 角川ホラー文庫
大分前に古本市場で50円で買った本です。
主人公、高谷美由紀には幼い頃川で溺れたところを通りすがりの男子高校生に助けられたという過去がある。それを知った友人達は美由紀の結婚披露パーティに「命の恩人」を招待するようすすめる。当時の新聞記事を頼りに恩人・井口貴明の住所を探し出し、招待状を送った美由紀だったが、かつての「恩人」はひそかに豹変していた───。
あ、裏表紙の文句そのまま写してすいません。
大体こういうハナシでしたが微妙にこういうハナシじゃなかったです。
以下ネタバレあり感想につき未読の方はご注意下さい。
あっさり読めてしまいました。綺麗に上手にまとまってる話だとは思いましたがあんまりというか全然怖くない。貴明の母親の井口富士子がイッちゃってるヒトなワケですがそれにしたって嫌ぁな感じがあるだけで別にどうってことないしな…期待し過ぎなのかなあ。
とりあえず「三森佳世子は何なんだ」と激しく強く突っ込みたい気分でいっぱいです。序盤から中盤にかけてさんざん意味深な描写を続けて霊感があるだの直感が鋭いだの何だの言うといてさてはコイツが富士子と対決するのかと思いきやあっさり殴られて死んでしまいました。何なんだお前は…? いなくていいんじゃないか別に…?
それよりも大澤拓也(初登場のときは『哲也』って名前なんですけど…)と美由紀とのつながりをもっと深く強く掘り下げた方が悲劇的になったんじゃあ…。
結婚披露パーティの直後からたちまちぎくしゃくし出してそのまんま拓也が殺されちゃって、結婚までしといて何なんだこのカップルは? って感じになっちゃったし…美由紀が拓也のことをこう思ってたとか実は拓也の心境はこうでとか一応説明は入るんだが言い訳にしか聞こえんなー…結局美由紀は拓也自身よりも彼の経済力に重きを置いてたみたいな印象が最後まで拭えないし。
拓也と美由紀の関係が弱いから駄目押しに佳世子を持って来て二人とも死なせた、みたいにとれて嫌。佳世子の役目はそれだけっぽくて。だったら最初の方に出て来た友人二人も巻き込んで殺しちゃった方が異常さが際立ってよかったんじゃないかな…?
結局この物語は野崎博信一人勝ちということで。どうも最後の最後で美由紀とくっつくっぽい。さすが捜査一課の刑事さんだわ。結構年の差。加えて野崎さんかなり純真(ちょっと思い込み激しいけど)。
美由紀もきっとあっさり野崎さんに鞍替えするに違いないよ! 何たって彼はもう一人の『恩人』なワケだしな! 拓也のことなんかたちまち忘れてそうなイイ性格してるし!
つまり美由紀も『勝ち組』ってことで拓也と佳世子が気の毒でならないよ…だって二人とも別に死ななくてもいいじゃん…特に佳世子なんか死ぬ意味がわからん。
面白くないワケじゃないけど納得出来ない作品でした…。
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